平成25年度北九州市婦人団体指導者研究集会 「料理は自立の第一歩」 4

 

アクティブシニアであり続けるために

 皆さま、アクティブシニアになって元気よくいつまでも人に迷惑かけたくないと思ったら、自分の健康状態を保ちましょう。ロコモティブシンドローム=運動器症候群とメタボリックシンドローム、いままでメタボリックシンドロームのほうばかりが重点的に言われてきたのですが、内臓脂肪症候群の予防、改善を心がけるとロコモティブシンドロームも一緒に予防、改善されるようです。2014年出版予定の書籍はこのテーマが多いです。世の中の動きを受けて、皆さまにどういうふうにお伝えするかということもムラカミの仕事です。

 

骨格の3要素(骨、関節、筋肉)

 骨格の3要素のことですが、整形外科のお医者さんが一生懸命に説明なさいます。このまま高齢化が進むと、20年後にはロコモティブシンドロームの恐れのある方が4700万人にもなるそうです。そのようになったら、国家財政も破綻をきたします。ご自身が快適なようにちゃんと食べてくださいね、と言っています。このお医者様とご一緒に、この間東京で講演をしました。筋肉というのは、いくつになっても使えばつきます。運動すればつきます。それも激しい運動ではなくて、日常生活の動きが一番筋肉を鍛錬するのに手っ取り早い方法だそうです。
 一日80gのタンパク質を摂ることを目標に、とドクターはおっしゃいます。亭主に伝えましたら、「僕は食べているよ」というのです。これはタンパク質の話です。タンパク質食品の肉が80gではないのです。脂を全く含まない豚のもも肉を換算したら、400gになります。そんな量を少し年配の人たちがバクバク食べるというのは大変です。料理にすると、どれくらいタンパク質が含まれているのか、というのをお目にかけましょう。ミルクティー2杯で6.6gです。パルメジャーノチーズをよくかじるのですが、25gでたんぱく質が8.8g。卵2個でオムレツをつくると12.3g。豆腐は100gで6.6g、水分が多いからタンパク質は減りますね。納豆は割合水分が少ないので、1パック45gでタンパク質7.5g。マーボ豆腐はひき肉と豆腐を食べて16.1g。電子レンジで蒸し鶏をします。ムネ肉100gで皮なしだったら24.4gあります。蒸し鶏は硬いので、叩いてほぐすと食べやすくなります。豚もも肉の生姜焼きは100gで20.5g、牛肉も100gでヒレとか脂身のないもも肉で20.5gあります。エビチリ18.4g、いわしの煮つけで19.8g、あさり200gの酒蒸しだと殻がありますのでタンパク質が減ってきて9.0gです。
 骨、関節、筋肉は衰えていませんかと言われますが、元気に暮らすためには、歯とあごの骨が丈夫かどうかということで決まるのではと思います。なんでも胃袋の中まで送っていかなければ、タンパク質を摂り込むこともできません。そのためにはまず歯です。義歯を入れている方もあるかもしれません。ご年配の方でだんだんと億劫になって義歯を外す人も出てきます。そうすると、人間の体は易きに流れる傾向があり、二度と義歯が入らなくなります。窮屈でも我慢して、磨いて歯を入れることが大切です。丹羽文雄さんという大作家の方が長寿を全うされましたが、奥様は70代で入れ歯を外したそうですが、丹羽さんはきちんと入れていらしたら、90歳になってもふつうに食事を召し上がることができた、とおじょうさんの随筆にありました。私は37歳の時に顎骨の慢性骨髄炎になりました。原因がわかるまで50回は大学病院に行きました。切り開いて4年間で18本の歯を抜き、外科の手術を受けました。
 私は義歯なのです。それにしてはよくしゃべります。その時入れた歯がそのままです。皆さんも将来義歯を入れることがあれば、毎日磨いてバリバリ食べてください。私は手術が終わって筋肉があがってきて歯茎もできてきて入れ歯をつくってもらえるまで4年間、歯なしで過ごしました。その後入れ歯が入り、ちゃんと食事ができるようになりました。おばあちゃんたちで入れ歯を外しておられると、だんだん巻き口になってしまいます。そして入れ歯も入らなくなりますから、ちゃんと入れておいてください。
 調理したお肉は硬いです。噛む、呑み込むができてこその、タンパク質です。食べ方次第です。包丁で薄く切れば、硬い肉でもいくらでも食べることができます。ポトフみたいに圧力なべで軟らかく煮るというのも、お肉を食べる方法です。トロトロの角煮でも食べやすくなります。細かく刻んで餃子の中身にするというのもできますね。ときには贅沢にお刺身を食べるのもいいですね。息子にお金を残そうとか思わないで、自分が健康でいれば息子さんにも迷惑をかけないという逆論法で、ご自分のためにお刺身を買って下さい。加熱していないタンパク質食品の方が、消化が早いです。

 

電子レンジでおいしい主菜

 電子レンジでおいしい主菜がつくれます。お目にかけましょう。サバの味噌煮、エビチリ、マーボ豆腐、バンバンジー、ゆで卵もできます。タンパク質もたくさん取れます。私はレギュラー教室以外にも「糖尿病の予防・改善教室」「シニアの健康ご飯教室」「にんにくスーパーレシピ&にんにくジャム健康教室」など、毎月企画しています。ご自分で作って食べるようになって欲しいと思っています。
 昔は田植え休みがありました。私は疎開先で小学校を終えました。田んぼがありません。田んぼを持っている方のところに、子どもが呼んでもらえるのです。加勢に行くわけではなく、ごちそうになりに行くのですが、先日電話をして、田植えのご飯はなんでしたかと聞きました。「握り飯に野菜の煮しめ、そしてやかんのお茶」と返ってきました。
 この写真はスタッフ用の賄いの煮しめです。人数が多ければ、煮しめをつくります。この一鍋で軽く10品目は入っています。野菜を肉の二倍の重量食べることができますが、二人暮らしだったら到底できませんね。だから、こういうふうに野菜を買ってきたら、冷蔵庫にストックして入れる。切りっぱなしです。サラダ野菜も切っただけ。シイタケも戻しただけ。そうして私はストックします。これが冷蔵庫に入っているので、東京に撮影で出張して何日か留守にしても、亭主は豚カツやかば焼き、ぎょうざなどを買ってきて、あと冷凍ご飯とストックの「チン野菜」で食事をととのえています。
 写真は糖尿病教室のご飯と野菜です。糖尿病の方は主食を少し減らし気味にして、野菜を1回に250gくらい食べる、肉や魚は最低でも100g摂るとすると、糖尿病が改善されます。一皿にこれだけ野菜を入れて176kcalです。こんにゃくを少し混ぜたマンナンヒカリというご飯をお茶碗に軽く1杯入れています。このほかに、おかずを2品食べていただきました。
 体の栄養状態が良い人は病気の治りも早いのです。栄養状態が良いと薬の使い方も少なくてすむ、という考え方が医学の世界でも広がってきています。

 

食べる薬、たまねぎ氷

 簡単な健康ご飯をうちの実例でお目にかけます。食べるお薬、たまねぎ氷。
 作り方をテキストにつけておりますので、つくってみてください。毎日よく電話がかかってきます。たまねぎ氷をつくって冷凍せずに冷蔵庫に入れているだけで使ったらいけませんか、という質問もきます。効果は同じです。冷凍したら二カ月保存できるのがメリットです。
 たまねぎ氷は万能薬です。ケルセチン、イソアリン、オリゴ糖、グルタチオン、セレンなどを含んでいます。氷にしているので、二カ月保存ができます。レンジでチンしてミキサーにかけて、製氷皿に入れて冷凍しただけです。冷蔵庫に入れておくだけでも10日間は保ちますので、すくっておみおつけに入れる、ご飯にかける、納豆と一緒に混ぜるなどして使えます。一日に50g玉ねぎ1個分食べるのです。生の時より、健康効果は2倍取れるようになります。

 

スキムミルク、ミルクからのカルシウム

 もう一つ気をつけているのは骨です。歯は何本か失いましたが、骨のためにカルシウムを摂るようにしています。
 スキムミルクと「ミルクからのカルシウム」といって、タンパク質を抜いてあって、カルシウムだけのものです。厚生労働省では一日200mg、牛乳1本分とりましょうといっていますが、本当は皆さんが元気にすたすた歩いて行くためには一日600ml、牛乳3本分必要です。そんなに飲めないので、私はスキムミルクを牛乳に入れて溶かし、パワフルミルクと勝手に命名して飲んでいます。
 バナナ酢は高脂血症と高血圧に大変効きます。これを飲むだけで亭主は普通の血圧に戻りました。
 マンナンヒカリご飯の炊き方を書いています。スーパーで売っていても、どういうふうに炊くのかと思うでしょう。水加減も多くなります。洗ったら、三時間くらいおいて炊いた方がおいしいのです。袋にはそこまで書いていないので、テキストを参考にしてください。

 

早・うま・簡単・健康ごはん

 一人分とか二人分とかのひじきを煮るのが大変でしたら、コンビニで買えばよいのです。市販品はおいしさも塩分も多めです。若者はいいのですが、少し年齢がいってくると味が濃すぎるということもあります。遠慮なく水をかけ、チンとしてから水を捨てると、味が少し抜けてちょうど良くなります。
 適当に使えるところは使って、そうではないところは自分流に変えるのはどうでしょうか。例えば、おでんです。一人でおでん屋さんには行けないし、一人分買うのは後ろめたいし、と思うのですが、食べたいと思ったら遠慮なく買ってきましょう。私はほうれん草をゆでて切って加えます。おでんにほうれん草?と思うでしょうが、おでんのおつゆでいっしょに食べるとおいしいですよ。明日から東京で撮影ですが、西麻布のスタジオで早朝から牛スジをゆでて一度冷やして脂を取って、そこにさつま揚げとか大根とかこんにゃくとかを入れて煮込んで、お昼ごはんにおでんを出すつもりです。そこに必ず、ほうれん草をゆでて加えます。
 ムラカミの健康ご飯のストックをお目にかけます。発芽玄米ご飯や白米ご飯を冷凍しています。冷凍ご飯をラップに包むと水分が抜けます。ラップは空気の穴が開いています。ラップに包んで冷凍するときは、さらにポリ袋に入れてください。そうすると、味は変わりません。ラップだけで冷凍しっぱなしにしておくと、変なにおいがついたりします。それはラップのせいなのです。私は耐熱の樹脂容器に熱いご飯を入れます。湯気のまま閉じ込め、そのまま冷まして冷凍庫に入れます。そうすると湯気ごとなので、チンするとほどよくふんわりのあったかいご飯に戻ります。特に玄米ご飯は炊き立てご飯より、冷凍して再加熱したほうがはるかにおいしいです。玄米を食べるとお米の持っている微量栄養素のミネラル類が全部とれるのです。これだけで解決することが多いので、玄米ご飯を食べています。最初は違和感がある人もいますが、食べ慣れるとだんだんと平気になっていくようです。
 キャベツと豚肉を圧力なべに入れて、ピエンロウというのを作ったりもします。豆腐を買ってきたら、二人で一丁は多いので、冷ややっこでも食べます。レトルトカレーに豆腐を入れて食べますと、とてもおいしいです。インドの植物性の豆腐のようなものがあるのですが、それによく似たカレーができます。肉も買ってきたら、きっちり焼いて十分に冷まし、超薄切りにして食べます。マグロの赤身ですが、ぶつ切りの切れっぱしみたいなのが時々値引きになっていますね。それを醤油とみりんで漬けにして、大根おろしを添えていただきます。
 次は卵です。私は夜でも卵焼きをします。読売新聞で夕食クリップという原稿を10年くらい書いています。夕食クリップなので、卵焼きでは朝食メニューで採用になりませんが、卵焼きはおいしいですよね。卵かけごはんもおいしいですね。西日本新聞のきょうの一品も一週間に5日書いています。写真も自分で撮って届けに行っています。次は、かば焼き、サバの塩焼き、さつま揚げ、豚カツです。私は市販品で構わないと思います。自分のために一人分作らなくてはと思わないで、自分の中の鎖をはずして、簡単にして「タンパク質食べた!」と思いましょう。トマトを買ってきたら、切りっぱなしでもおいしいですが、すき焼きに入れたらおいしいんです。トマトの酸味とうまみが出ます。だし代わりでおいしくなります。ニンジンも一本あったら、ニンジンばかりのみそ汁、それからポトフです。皆さま、ドッとお笑いになりますが、いいのですよ。亭主と私だけなのですから、野菜を食べるために吹っ切れるということも必要です。大根も電子レンジにかけると、簡単にふろふきになります。大根汁もあれもこれもといっぱい入れています。ジャガイモは買ってきたらチンします。そして冷蔵庫に入れておきます。東京から帰ったら、夜10時半ごろに家に着くんです。それから食事の支度です。ジャガイモをぶつぶつと切ったものをフライパンで焼いて、塩コショウをしたら出来上がりです。ジャガイモは同じグラム数でもご飯と比べると、カロリーは半分になります。ビタミン類、ミネラルも含んでいます。食物繊維も多いのです。

 

とにかく みそ汁

 ベルツさんではないですが、とにかく毎晩、みそ汁を作ります。朝ご飯ではないかと言われそうですが、油揚げと小松菜、ジャガイモとパセリ、小松菜ともやし、何でも残っているものを入れたらいいです。ねぎだらけのみそ汁、いろいろ入れたもの、春菊、エノキ、もやし入り、いろいろあります。

 

これさえあれば安心 保存食

 米国にデザイナーフーズ・ピラミッドがあります。10年の長きにわたって国立ガン研究所がガンに効く野菜を調べました。ガンの予防やガン細胞を攻撃して減らす効果効能の高い植物性食品を効果の高い順にピラミッドに表してあります。今、たまねぎ氷がブームですが、次は多分にんにくジャムが当たると思うのです。そのにんにく、しょうが、キャベツ、玉ねぎはこのガンの予防の野菜のトップにあります。日本人にはあまり関係のないパースニップとかバジルとか書いてありますが、あとは日本人に関係の深い野菜です。私のレギュラー教室では、ごちそうも教えます。ごちそうも食べていただいて、体のために効果のある保存食も教えることにしています。教室で教えても、ごちそうと一緒にその場で食べるのではお腹いっぱいになりますから、保存食は小さなお弁当箱を用意して詰め合わせてお持ち帰りいただいています。作り方を書いていますので、ガンの手術をしたことがあるとか、放射線治療で今は安定の状態とか、ご家族にいらっしゃれば是非お試しください。ひじきと切り干しの煮もの、しょうがの炊いたもの、ニンジンのスープです。薄めるとポタージュになりますが、ニンジンを発芽玄米とお水で煮てミキサーにかけただけです。大変おいしいです。日をおくほどおいしくなります。それから、にんにくをしょうゆで煮たものとキャベツの酢漬けを書いています。さっぱりして食べやすいのです。キャベツはガンの予防に効果があります。私の親戚でガンの手術をした人がいます。その後転移しましたが、これらをコンスタントに食べてもらっています。すると、確実に腫瘍マーカーが下りていきます。先生が一体これはどうしたんだろうと言われるようにどんどんと減っていきます。本人はぴんぴん元気でおります。データを見せてもらって私も驚きました。

 

料理は自立の第一歩

 「料理は自立の第一歩」皆さまが若く美しく、そして元気にと願って、講演をさせていただきました。
 これは私の福岡の資料の部屋です。前は東京に置いていたのですが、これだけ通信手段が発達した時代です。ここで、全国発信の仕事をすべてやっています。
 40万点のレシピがあります。早目に教室にお越しになった生徒さんは、この3階の部屋に上がって「これをコピーして1枚ください」とおっしゃいます。貸し出しはできないのですが、コピーはいくらでもして差し上げられます。
 本日は、食べて元気になる、自立した生活ができることを皆さまにお伝えする機会をいただきました。ご静聴ありがとうございました。